「お水取り」という伝統的な行事をご存じですか?
本記事では、2025年に予定されているお水取りの日程について詳しく紹介し、その意味と起源についても説明します。
この行事の詳細が知りたい方や、旅行計画に役立てたい方々のお役に立てれば幸いです。
お水取りとは何か?
「お水取り」とは、奈良県の東大寺で行われる「修二会(しゅにえ)」という法会の一部です。
正確には、「お水取り」は修二会の中の特定の儀式を指しますが、観光ガイドなどでは修二会全体を指して使われることがあります。
通常、お水取りは毎年3月12日の深夜から3月13日の未明にかけて、東大寺二月堂前の「閼加井屋(あかいや)」、または「若狭井戸」と呼ばれる場所で行われ、観音菩薩に捧げる「お香水」を汲む儀式です。
この行事は一般の人々ではなく、清められた心身を持つ11名の僧侶、「練行衆」と呼ばれる者たちによって行われます。
「懺悔」と「国家の安寧を祈ること」がこの儀式の目的です。
「十一面観音菩薩」(二月堂の本尊)に向かって、練行衆は宝号を唱え、その年の幸福を願います。
ちなみに、お水取りが行われる修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)法要」です。
この法要の一部が「お水取り」として知られ、観光用語としては修二会全体を指すことが一般的です。
お水取りの始まりは?
この行事は天平勝宝4年(752年)に始まり、戦時中も含め一度も中断されることなく続いています。
2025年にはその1274回目を迎えます。
お水取りの創始者は、持統天皇の高弟である実忠(じっちゅう)です。
また、東大寺領内の若狭地域から水を運んだことで、お水取りの名称が定着しました。
古代から、国家を脅かす災害や反乱は「国の病」とされ、その治療が必要とされてきました。
そのため、お水取りを含む修二会や十一面悔過法要は、国家平和を祈願する重要な宗教行事として位置づけられています。
『二月堂縁起絵巻』の物語
『二月堂縁起絵巻』(天文14年/1545年)には、この行事の神話的な背景と歴史が描かれています。
持統天皇の信頼深い弟子である実忠は、「修二会(しゅにえ)」の法会の最後に、神名帳に記された1万3千7百余りの神々の名前を読み上げ、祈りを捧げました。
その時、遠敷明神は川で釣りをしており、呼びかけを聞き逃し、遅れて参加しました。
この過ちを償うため、遠敷明神は東大寺二月堂のご本尊に、若狭(現在の福井県)から「お香水」を捧げることを誓いました。
誓いを立てた瞬間、黒と白の鵜が岩を割り、そこから泉が湧き出しました。
お水取りの儀式が始まったのは、この場所に石が敷かれ、「閼伽井(あかい)」と名付けられてからです。
この伝説が広まり、若狭国の福井県から地下を通って10日間かけて届く水とされています。
福井県小浜市の若狭神宮寺では、毎年3月2日に二月堂の「閼伽井」へ水を送る「お水送り」の儀式が行われます。
2025年のスケジュール詳細
2025年(令和7年)、3月1日(土曜日)から14日(金曜日)まで「修二会(しゅにえ)」が開催されます。
この行事は「十一面悔過(じゅういちめんけえか)」が正式な名称となります。
期間中には毎日「お水取り」の儀式は行われませんが、法会全体の日程です。
「お水取り」自体は3月12日の深夜から13日の未明に行われます。
修二会は非公開ですが、松明を使った人気のイベント「お松明」は3月1日から14日まで毎晩開催されます。
点火は通常19:00からですが、12日は19:30、14日は18:30からと時間が異なります。
12日の松明は11本、他の日は10本です。
また、3月12日から14日の深夜には「達陀(だったん)」という特別な行法が行われます。
練行衆が火天や水天の役を演じ、二月堂内で松明を燃やす神秘的な光景を見ることができます。
観光ツアーにも組み込まれることがあるため、旅行の際は旅行会社に確認してみてください。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。